真っ白でふわふわで、良い香りのするタオル。
顔を埋めると、小さな幸せを感じることができるアイテムです。
ところがこの白いタオル、洗濯を重ねるたびにどんどんと色褪せしていくように感じます。
これは生地そのものに「くすみ」が生じるからのようで、これまではどうすることもできないと思われてきました。
しかし「花王」は、先日行われた「2022年繊維学会年次大会」で、従来の洗剤よりも「くすみ」を抑制して白く仕上げる新技術を開発した、と発表。
それは一体どのようなメカニズムなのでしょうか。
まずは「くすみ」の本質についてですが、「花王」によるとくすんだタオルなどには、バイオフィルム(菌が分泌した多糖やタンパク質を含む菌体外マトリクス=EPSと菌の複合体)が存在するのだそうです。
そして今回の研究では、バイオフィルムが存在するタオルから菌を分離培養したところ、メチロバクテリウムやロドトルラなどのピンク色の菌が高い割合で存在することが判明。
これらの菌が色素を産生し、タオルの着色に関与している可能性があるそうで、菌が産出するEPSには粘着性があるため、泥などの有色の粒子を吸着しやすいのだそうです。
これらの研究結果をもとに、「花王」ではくすみに大きな影響を与えているバイオフィルム形成を抑制する技術開発に着手しました。
その結果、特定のアルキル硫酸塩アルキレンオキサイド付加物が、EPSの構成成分である多糖の産生を抑制する効果を確認したとのこと。
さらに、この界面活性剤を配合した新処方の効果を見るため、実家庭において1カ月半にわたり「新処方で洗うタオル」と「従来洗剤で洗うタオル」の2種類を比較しました。
すると、新処方で洗濯を続けたタオル中には多糖量が少なく、見た目の白さの度合いが高いことが確認されたそうです。
「花王」は、「バイオフィルムの形成を抑える技術によって、これまで解決が困難であった衣類の落としにくいくすみに対処できるようになる」とコメントしており、将来的に発売される衣類用洗剤にこの技術が活かされれば、おろしたてのタオルの白さをこれまでよりも長く保つことができそう。
商品化される日を楽しみに待っています。