赤い缶にドロップの絵がついている「サクマ式ドロップス」。
私ぐらいのアラカン世代には懐かしいお菓子です。
昭和30~40年代ぐらいには、どの家にも当たり前のように1つは置いてあったような記憶があります。
が、この「サクマ式ドロップス」の歴史はそれどころではなく、なんと明治41年(1908年)に生産が始まったと言いますから、今年で114年を迎えると超ロングセラー商品なんですね!
戦争の悲惨さを描いたアニメ映画「火垂るの墓」に、栄養失調で衰弱した節子がこのドロップ缶を胸に抱く痛切なシーンがありますが、そんなところにも登場するほど、この商品は日本人なら「誰でも知っている」おなじみのお菓子でした。
そんな「サクマ式ドロップス」が、今年いっぱいで生産・出荷を終了するそうです。
サクマ式ドロップを生産してきた「佐久間製菓」は、2023年1月20日に自主廃業することがわかっており、今後店舗での在庫がなくなり次第、終売になります。
この背景には、コロナ禍による販売数の減少や、昨今の原材料高騰などがあったとされ、一世紀を越える歴史を持つお菓子も時代の流れに抗うことができなかったか、と残念な気持ちになりました。
なお、とても似た名称を持つ、緑色の缶の「サクマドロップス」は、資本関係がない別会社「サクマ製菓」の商品で、こちらの方はこの先も生産は継続となります。
ちょっとややこしいこの状況の理由は、佐久間製菓の担当者によると次のような内容です。
「もともと戦前からサクマ式ドロップスを製造していたのですが、戦争で一度解散しました。戦後、会社は復興しましたが、勤めていた者によってドロップを造る会社が乱立したと聞いております。」
いずれにしても、私が小さな頃台所の戸棚の中に置いてあったあの赤い缶はもうすぐ姿を消すわけですね。
いろんな色といろんな味があり、好きなものが缶から出てくるとすごく嬉しかった、そんな子供時代の思い出と共に、また一つ昭和を彩ったものが表舞台から去っていきます。