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盗難に遭った「戦メリ」の希少ポスター返却される

新宿の武蔵野館は、昨年創業から100年を迎えた超老舗映画館です。

私の若い頃は3本立てで1000円の日、みたいなのがあって、当時は今のように自宅で手軽に映画が見られる時代じゃなかったので、よく行きました。

そこで見たフェリー二やヴィスコンティ、デヴィッド・リーンらいわゆる「巨匠」と呼ばれる映画監督らによる名作の数々は、私の心の栄養となり、自らを豊かにしてくれたと深く感謝しています。

さて、その武蔵野館に展示されていた「戦場のメリークリスマス」の希少なポスターが3月15日に盗難に遭い、配給会社が「返して欲しい」とメディアなどを通じて訴えていたところ、18日に「お返しします」などと書かれた手紙を添えて当該のポスターが返却された、というニュースがありました。

「戦メリ」という略称で今でも愛される本作は、1983年に公開された日英合作の映画で、監督は日本人の映画監督としては「巨匠」であった1人、大島渚。

原作はイギリス人・ローレンス・ヴァン・デル・ポストの著作「影の獄にて」で、映画の舞台は第二次大戦下、ジャワ島に作られた日本軍俘虜収容所。

主人公英国陸軍中佐ローレンスを演じたのは、イギリスの実力派俳優・トム・コンティでした。

彼の落ち着いた佇まいはいかにもイギリス紳士、という感じで好もしかったんですが、この映画は脇役である収容所所長役の坂本龍一(陸軍大尉ヨノイ役)や、彼と個人的に不思議な感情のやりとりが芽生えるイギリス陸軍少佐ジャック・セリアズ役を演じたデヴィッド・ボウイ、そして粗暴ながらどこか憎めない日本軍のハラ軍曹役ビートたけしの存在感があまりにも強くて、主役がかすんでしまうほどだったですね。

戦時中なのになぜかばっちりメイクしているヨノイ大尉には、「何故?」という声が当時あったことを今でも懐かしく思い出します。

イギリスと日本の文化の違い、そしてお互いを理解する難しさと、しかし最終的には「同じ人間」というところに行き着くんだなぁという感慨。

いろんな問題提起がなされ、様々なことを考えるきっかけをくれた1作でした。

なお、武蔵野館は今でも芸術性の高い映画作品を数多く日本に紹介してくれているので、これからも応援したい映画館です。

とにかく希少なポスターが(おりジワがかなりついてしまったようですが)戻ってきたので、ひと段落ですね。

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