「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品の名前を私が初めて聞いたのは、2019年に起きた京都アニメーションでの痛ましい事件のすぐ後です。
その一件で原画などの紙書類はほとんど消失したそうですが、幸いにも画像データは被害を免れ、まだ事件の記憶も生々しい同年秋に劇場版の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝ー永遠と自動手記人形ー」が公開された、というニュースを聞いた時は、何とも言えない複雑な心持ちになりました。
私自身幼い頃から絵を描くのが大好きで、真剣に漫画家になろうと考えた時期もあったので、同様の夢を実現させ、アニメーターとして日々活躍されていた多くの方々の尊い命が失われたことを本当に悔しく思います。
あれから約2年の月日が流れ、10月29日と翌月11月5日の2週に渡って、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が金曜ロードショーで放送されることがわかりました。
今回放送されるのは、石立太一監督監修により新たに再構成された「特別編集版」と、前述した2019年に公開された劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝ー永遠と自動手記人形ー」の2本。
京都アニメーションで制作される作品は、その作画の質の高さから「京アニクオリティー」と称されるほどで、中でも「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」などは今でも多くのファンを持つ人気作となっています。
そして「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、暁佳奈(あかつきかな)著・同名タイトルの小説が原作で、テレビアニメとしては2018年にTOKYO MX他で13話+特別番外編が放映されました。
かつて「大陸戦争」で「武器」と呼ばれて恐れられていた少女・ヴァイオレットが戦争で両腕を失い、自在に動く義手を付けて、大戦終了後は「自動書記人形」として代筆業を行っている、という設定のもとにストーリーが進んでいきます。
主人公ヴァイオレットは孤児で言葉も親も知らなかった少女。
そんな彼女にはかつて戦場で誰よりも大切な人がいて、その人が最後に発した言葉「愛してる」という言葉を理解できなかったのですが、自動書記の仕事や、様々な人たちとのふれあいを通して、その言葉の意味を探していく姿が物語の核となっています。
ネット上では、心の琴線に触れてくるような、繊細な物語で、この物語のことを思い出すだけで涙腺が緩くなってしまう・・・というような書き込みを多数目にしました。
色合いも背景の細かな描きこみもまさに「京アニクオリティー」を代表するような「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。
放送日を今から心待ちにしています。