あなたは字幕派?それとも吹き替え派?
そんな質問を時々見かけることがあります。
外国映画を見る時に、音声はオリジナルで聞き、日本語に翻訳された字幕を見ますか?それとも日本語になった吹き替え版を見ますか?という選択を問うものですが、私は長らく字幕派を自認してきました。
作品はそのもともとの言語も含めてのものだと思ってきたからです。
その考えは今も変わっていないのですが、困ったことに最近「物を見る力」が全体的に落ちてきていて、長い時間字幕を目で追うのがしんどくなってきています。
なので、これからは映画を見る時には少しづつ吹き替え版のお世話になることがふえてくるかもしれません。
そして、洋画吹き替えの世界ではもはや伝説的な存在といっても良い若山弦蔵さんが先月88歳で亡くなっていたことがわかりました。
若山さんといえば、低くてハスキーでよく響く声がすぐに脳内再生されます。
つい先日まで若山さんによるラジオCMが流れていて、それを聞きながら「あぁまだお元気なんだ。よかった」と思っていたので、亡くなったというニュースにショックを受けました。
若山さんの「当たり役」は、アメリカの人気テレビドラマシリーズ「スパイ大作戦」で、チームリーダーを演じたピーター・グレイヴスの吹き替え。
常に沈着冷静でいざという時には仲間を守る頼もしいリーダー「ジム・フェルプス」に若山さんの声はどんぴしゃで、逆にピーター・グレイブスのオリジナル音声が想像できないぐらいです。
また、それ以外にもショーン・コネリーやリー・マーヴィン、ヒュー・オブライエンなど様々な俳優の吹き替えを担当し、若山さんが吹き替えした俳優たちの幾人とは実際に対面もしたそうです。
その際、多くの俳優たちが若山さんの声を「低い声」ではなく「深い声」と表現し賞賛したことに、若山さん自身も喜んでおられたとのことでした。
若山弦蔵さん、長い間お疲れ様でした。
ご冥福をお祈りします。