俳優の田村正和さんが、今年4月3日に77歳で亡くなりました。
昨晩速報でそのニュースが流れた時、思わず「えっ」と声が出てしまいました。
私にとって田村正和さんと言えば、1990年代半ばごろに放送されたTVドラマ「古畑任三郎」シリーズで演じた主役のイメージが最も強いです。
最初から犯人がわかっていて、それを古畑任三郎が切れ味鋭い推理で追い詰めていくストーリーは、見ていて毎回ドキドキしたものです。
しかし今回の逝去の報を受け、各メディアで田村正和さんの「歴史」的なものがいろいろと紹介されていたのを見ると、もともとは映画俳優としてその役者人生をスタートされており、1970年に出演したTVドラマ「冬の旅」で人気に火がついたことを初めて知りました。
田村さんの父親は、戦前戦後に活躍した名優「阪妻」こと「阪東妻三郎」。
そして兄の田村高廣、弟の田村亮とともに兄弟3人が俳優という、見事なまでの俳優一家の3男(次兄の田村俊麿氏は実業家)として、芸能界で活躍されました。
TVで活躍した俳優さん、という印象の強い方だったのですが、プライベートについてはほとんど語らず、外出もほとんどせず、とにかく徹底して「俳優としてのイメージ」を保つようにされていたそうで、中でも驚いたのは数少ない行きつけのお店(京都の料亭的なお店)に来られた時でも、帽子をまぶかにかぶり俯いたまま、静かにひとりでお酒を飲んでいた、というエピソードです。
ものを食べる姿を人に見せることを良しとせず、自宅でも食事は家族とは別の部屋でしていた、ということですから、それはもう単なる「俳優」というよりは、戦前の「銀幕のスタァ」と言った方が良いような徹底ぶりだったんですね。
これほど俳優としての自分のイメージを守り続ける人は、もうこの先出て来ないかもしれません。
クールでニヒルでかっこよくて、でも笑うとちょっぴりお茶目な感じがした田村正和さん。
心からご冥福をお祈りいたします。