大人の私でも思わず引き込まれるように読んだ漫画「メタモルフォーゼの縁側」。
何だか難しそうなタイトルだなぁ、と最初は思ったものの、いざ読み始めると、ゆったりとした流れでどちらかといえば地味目なストーリー展開なのに、いつのまにか作品に登場するキャラクターたちに共感したり、「いや、そこはもうちょっと頑張ろうよ」と思わず檄を飛ばしたり。
そんな「優しいけれどパワフル」な魅力に満ちた「メタモルフォーゼの縁側」は、富山県出身の漫画家・鶴谷香央理さんの作品です。
当初ウェブサイトに掲載され、その後5巻の単行本として発売された本作品が、このたび実写化されることになりました。
主役の二人、17歳の佐山うららと75歳の市野井雪を演じるのは、芦田愛菜さんと宮本信子さん。
原作のうららちゃんは、自己肯定感が若干低めで、人付き合いがあまり得意ではないキャラクターです。
頭がとても良くて人付き合いもそつなくこなしていそうな芦田愛菜さんとはあまり結びつかないイメージですが、演技力に定評のある彼女ですから、きっとうららちゃんに成り切るんでしょうね。
そしてご主人に先立たれ、今は書道教室を開いて一人暮らしをしている雪さんは、予告編で見る限り宮本信子さんがほぼイメージそのままに演じていらっしゃいます。
年齢的には彼女の方に近い私は、硬いかぼちゃを切るのに雪さんが苦労する場面や、一人で肩を丸くして食卓でご飯を食べる姿などに、つい感情移入してしまいますね。
そんな二人が「BL」を共通項に、58歳という年齢差を超えて友情を育み、ともに新しい挑戦をする。
原作を読みながら、思わず自分も彼女たちと一緒になって同じ挑戦をしているような気がしたくらいなので、これが実写化されたらいったいどんな気分になるんでしょうか。
想像するだけでわくわくどきどきします。
映画版「メタモルフォーゼの縁側」は、配給「日活」、監督「狩山俊輔」、脚本「岡田惠和」で今年6月に全国ロードショー公開。
前述の二人のほか、うららの幼馴染・河村紡役に高橋恭平（なにわ男子）、BL漫画家・コメダ優役に古川琴音、雪さんの娘・花江役に生田智子、雪さんの書道教室に通う印刷所のおじさん・沼田役に光石研など、個性豊かなキャスティングになっています。