日本が世界に誇る古典芸能、能・狂言。
その重要な文化の担い手であると同時に、俳優としてもその才能を遺憾なく発揮されている野村萬斎さん。
その萬斎さんが絡んだ面白いイベントが、今年の夏と冬に行われることがわかりました。
それは、2020年に劇場版アニメが大ヒットした「鬼滅の刃」を能 狂言に翻案した舞台。
補綴(脚本制作)を木ノ下裕一さんが担当し、舞台演出を萬斎さんが手がけるというこの舞台は、観世能楽堂GINZASIX(東京都中央区)で7月26~31日に、そして大槻能楽堂(大阪市中央区)で12月9~11日に上演される予定です。
吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さん原作の「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために旅立つ……というストーリーの漫画で、2016から20年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていました。
今回の舞台では、主人公・竈門炭治郎とその妹の禰豆子役を大槻祐一さんが、主人公の父・竈門炭十郎役と「鬼」の鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)役、そして鎹鴉(かすがいからす)の天王寺松右衛門役を萬斎さんが演じるとのこと。
原作の「鬼滅の刃」は舞台が大正時代で、登場人物の姿格好が和服姿メインであることからも、確かに能 狂言とはある意味親和性が高いと言えるかもしれません。
それでも、大ヒットした漫画のキャラクターを能 狂言に翻案しようというその発想は、やはり普通の人とは違うぶっ飛んだ感性があってこそ、と感じます。
また、作品中でも人気キャラである我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)役に、萬斎さんの長男・野村裕基さんが、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)役に野村太一郎さん(狂言方和泉流能楽師・八世・野村万蔵の長男)が出演するなど、若手の起用にも注目したいところですね。
能 狂言舞台版「鬼滅の刃」は、「人も鬼、鬼も人 不滅の想(おも)いを紡ぎ、舞う」がコンセプトとなっており、能 狂言の衣装をまとった炭治郎が描かれたポスタービジュアルもすでに公開になっています。
もしかしたら「鬼滅」ファンの方が、これがきっかけで能や狂言推しになる可能性もありますよね?
そういった意味でも今回の公演は大変楽しみです。