最近になって俄かに「スマホ認知症」という言葉をよく耳にするようになってきました。
「スマホ依存症」というのはこれまでもよくあちこちで語られ、「あぁ、私ももしかしたらそれかもね」などと思っていましたが、「スマホ認知症」とは、ちょっと穏やかじゃないですね。
「スマホ認知症」とは、スマホを多用する30代~50代以下の世代で、心身に不調をきたす人が増えている状況の中、そういう人たちに見られる「認知症に似た症状」のことだそうです。
具体的には、「人や物の名前がすぐに出てこない」(私もよくある)「簡単な計算ができなくなった」(う~ん、たまにあるかなぁ)「料理の手順がわからなくなってきた」(それはまだ大丈夫かな)などといったような諸症状を指すとのこと。
こういった症状は、アルツハイマー型認知症の患者さんによくみられるものですが、MRI検査では脳に特に異常がみられないのに、同様の症状が「スマホ認知症」の疑いがある人たちにはみられるのだそうですよ。
これについて、認知症など脳機能に障害をきたした患者らを診療する「おくむらメモリークリニック」の理事長で脳神経外科医の奥村歩氏は次のように話します。
「若年患者の多くは、常にスマホが手元にないと、『落ち着かない』『不安』など依存症ともいえる状態に陥っている患者が少なくない。その分、脳は絶えず膨大な情報にさらされ、大きな負担がかかっている状態と考えられる。」
「脳は入ってきた情報を整理整頓し、記憶の棚から出力している。だが情報過多でその機能が追いつかなくなると、必要な情報をうまく取り出せなくなり、『ど忘れ』や『うっかりミス』といった『スマホ依存症』とも言える症状が現れる。」
それと同時に、心身の状態をコントロールしている前頭葉の機能低下も起きるとされ、手足の痛み、動悸、めまいなどさまざまな体調不良にもつながり、突然怒り出す、泣き出すなど情緒が不安定となる人もいるそうです。
怖いのは、このような状態を放置しておくと、老年期に認知症になるリスクが大きくなるということで、そのようなリスクを減らすためには、「脳のメンテナンス」が必要だとのこと。
具体的には、スマホから距離を置き「ぼんやりする時間」を作ることが重要だそうです。
そうすることで情報が整理され、脳機能の回復につながり、さらに一定のリズムで体を動かすことも脳機能の活性化に役立つそうですよ。
これには、散歩やサイクリングといった運動のほか、料理や皿洗いといった家事仕事なども有効とのことです。
奥村氏は「食事に気を使うのと同じように、脳の健康を意識した生活を心がけてほしい」と呼びかけています。