エレファントカシマシのボーカリスト・宮本浩次と、Mr.Childrenのボーカリスト・桜井和寿。
ふたりとも、日本のミュージックシーンにおいて長く活躍し続ける何れ劣らぬ優れたアーティストです。
個人的には男臭くてワイルドな宮本さんの歌い方の方が好みなんですが、私の周囲には「ミスチル教」(?)と思うほどMr.Childrenとその曲が大好き!という人がたくさんいて、日本におけるミスチル人気の凄さをいやでも感じさせられます。
佇まいとしてはおそらく真逆と言えるほどタイプの異なるこの二人が、このたび「東京協奏曲」という作品でコラボしました。
そのMVは、本日9月15日から公開が始まっています。
「東京協奏曲」は、数々のアーティストに楽曲を提供してきた小林武史さんが作詞作曲した楽曲で、様々な人々の様々な思いを飲み込みながら息づく大都市「東京」を舞台に、宮本さんと桜井さんがあたかも「天使」か「神様」のような視点を持って、切なさ、痛み、苦しみを抱えながらも必死で前を向いて生きる人々を優しく見つめる内容になっています。
実際にこのMVを見てまず思いだしたのは、昔見た洋画「ベルリン・天使の詩」でした。
「東京協奏曲」のMVは全編モノクロですが、この映画もモノクロで、登場するのが「おじさんの姿をした天使」であるところも、「東京協奏曲」のコンセプトと重なるものを感じます。
また、銀座和光の時計台が「3時」を示してチャイムが鳴るところから始まる「東京協奏曲」では、そのすぐ下に立つ宮本さんと桜井さんが「東京協奏曲」を歌う姿を、俯瞰・煽り様々なアングルでカメラが追っていく内容になっていて、私ぐらいの世代にはなんとも言えない懐かしさを感じさせてくれました。
そして肝心の曲の内容ですが、メロディラインはさすがジョン・レノンとビートルズが好きだと公言されている小林さんらしく、胸に迫るような美しいバラード調で、ビートルズ後期の作品群を想起させるような「エバーグリン感」があり、思わず目頭が熱くなります。
コロナ禍で制限だらけのしんどい生活を送るすべての人たちに向けられた、優しい応援歌だと私は勝手に解釈しました。