横溝正史が作り出した日本の名探偵の一人、金田一耕助。
この人物を演じた役者さんは、たくさんいます。
が、もし最も金田一らしい役者さんは?と聞かれたら、私は「古谷一行さん」と答えるでしょう。
古谷さん以前は、映画版で金田一役だった石坂浩二さんが決定版だと言われていました。
それがテレビシリーズで古谷さんが金田一を演じて以降は、古谷さんこそが金田一だ、と推す声が強くなったように思います。
素朴さと、優しさと、頭脳明晰さが同居した古谷さんの金田一は、まさに古谷さん自身の内側から滲み出たものでもあったのでしょうね。
そんな古谷さんが、先月8月23日に亡くなっていたことがわかりました。
亡くなる数日前から顔色が悪く、自ら入院されたその当日に亡くなったとのことで、周囲の方達もみなさん驚かれているようです。
若い頃から、朴訥さとセクシーさが共存する独特の魅力をお持ちだった古谷さん。
CS放送で時々放送される「混浴露天風呂殺人事件シリーズ」では、全国各地の観光地・名湯に赴き殺人事件を解決する刑事の役を演じていて、「金田一」とはまた違った男の魅力が大いに発揮されていましたね。
この作品で長年共演していた木ノ実ナナさんは、古谷さんの訃報を聞いて泣き崩れたそうです。
また、プライベートで古谷さんと偶然行き合った、という一般の方の声もたくさんあって、そのどれもが古谷さんの気さくさと優しさに感激した、というものばかりだったことからも、古谷さんの人となりが伝わってくるようですね。
78歳でのご逝去は、今の時代としては早すぎるように思いますが、今は古谷さんのご冥福を心からお祈りするばかりです。