バーキンのバッグ、といえば、入手するのに2年は待たねばならないうえ、価格が⚪︎百万円という、一般庶民の感覚からするととんでもない高級品ということで有名です。
それでもバーキンが欲しい!と、いう人が後をたちません。
それは、老舗エルメスが手がけたバッグであるという理由はもちろんんこと、発売当初からほとんどデザイン変更がない、美しい見た目と同時に、収納力がたっぷりあって実用的でもある、という機能性の充実など、バッグとしてこれ以上のものはないのでは、と思えるほどのクオリティを備えているからでしょうか。
この「バーキン」が生まれるきっかけを作ったのが、ジェーン・バーキンです。
ベーシックなアイテムを、気取らずそれでいて上品で女性らしく着こなすことを意味する「フレンチ・シック」のアイコンとして、日本でもよく知られる彼女が、1980年代のある日、飛行機でたまたま、当時のエルメス社の社長・ジャン=ルイ・デュマ氏と隣り合わせになりました。
その当時彼女が愛用していたのは藤製のバスケット籠。
いつもその中にたくさんの荷物を無造作に放り込んで移動しており、もっとたくさんものが入れられておしゃれなバッグがあれば良いのに、とジャン=ルイ・デュマ氏に話をしたところ、彼は二つ返事で「物を整理しなくても綺麗に詰め込めるバッグを作りましょう」と言ったそうです。
そんな偶然から生まれたのが「バーキン」でした。
彼女自身は、全く気取ることのない人で、かつて日本のあるバラエティ番組にゲスト出演した際には、バーキンのバッグを「これはこんな風にして使うのよ」と、足で踏んづけたり(!)して、わざとボロボロにしようとしてみせた、という逸話が残っています。
そんなジェーン・バーキンが7月16日に亡くなりました。
享年76歳。
近年は闘病していたそうです。
恋多き女性としても知られていたジェーンですが、中でもフランスのアーティスト・セルジュ・ゲンズブールとの関係はもっとも有名でした。
彼とジェーンとの間の娘、シャルロットが監督・脚本を務める、母と娘の繊細で貴重なストーリーを紡いだドキュメンタリー映画「ジェーンとシャルロット」が、ジェーンの遺作となります。
イギリス出身でありながら、フランス的な「粋」を体現し続けた「ミューズ」ジェーン・バーキン。
その美しい笑顔を忘れません。