気がつけば秋のお彼岸もすぐそばまで来ていました。
我が家には小さなお仏壇があります。
亡くなった私の両親の位牌と写真が並べて飾られているこの仏壇に、今年のお彼岸はこれまでとはちょっと違ったお線香をあげてみたいな、と今思っています。
なぜそう思ったのか。
それは、今日たまたま見たある記事がきっかけでした。
その記事は、「コロナ禍の影響で一時は廃業寸前までに追い込まれた老舗手作り線香店が、あるSNSへの投稿がきっかけで、8月の売り上げが一気に7月の約30倍になった」という内容のものです。
この老舗手作り線香店とは、島根県安来市にある内田線香店。
この線香店は安来市で創業100年を超える歴史を持つ手作り線香の店で、現在母娘3人が製造から販売までの全ての工程を切り盛りされています。
内田線香店で作られているのは島根県ふるさと伝統工芸品にもなっている「杉葉線香」。
杉葉線香は香料が使われておらず、火のつきがよくて折れにくいという特長がありますが、気温・湿度の影響を受けやすく、カビや曲がりが生じやすいなど、作り上げる過程において非常に繊細な注意が必要で、熟練した職人技があって初めて完成が可能になる取り扱いが難しい線香だそうです。
そんな杉葉線香が、コロナで取引をしている寺院の参拝者数の減少などが影響し、売り上げが一時ほぼゼロまで落ち込んだのです。
創業以来の危機に「もうダメかもしれない」と思われたという内田さん。
ところが、今年8月事情を知った地元ケーブルテレビの関係者が「これは何とかせねば」と、Twitterに杉葉線香の写真を添えて記事を投稿したところ、その書き込みはあっというまに拡散され、たくさんの応援コメントとともに多くの「いいね」がついたそうです。
そして、これまでは近隣からが主だった注文が、全国各地に広がり、最終的に7月の売り上げの約30倍にまでなったということでした。
この一件から、SNSが持つ「良い側面」を感じましたし、全国にたくさんあるであろう、「職人技」が光る手作り品にもっと光が当てられるといいな、と強く思った次第です。
この先も手作りの良いものに多くの人たちが注目してくれるようになるとよいですね。